「善戦できている」ECとは

── 精肉業の楽天モール運用を3年以上伴走して見えてきた変化
2026年、明けましておめでとうございます!
実は先の年末に、長くご支援している、養豚業・精肉業のクライアントさんから、こんな言葉をいただきました。
「この仕事は、供給に制限がありデリケートな進行がせまられるものの、それでも目指さなければならない高い目標があり、両方を睨む複雑なところがありますが、善戦できています。「売りたいものを、売りたいだけ、売りたいときに売れる」のが理想で、だいたいそれに近づいてきています。」
この「善戦できている」という表現がとても印象的で、私自身、これまでの進行に自信を深めたお言葉でした。
派手な成果でも、勢いのある言葉でもない。
けれど、ECを現場でやってきた人同士だからこそ共有できる、実感のこもった評価でした。
楽天運用の初期は「とにかく回す」フェーズ
こちらのモールEC支援を始めた当初、店長さんは新任で、楽天だけでなく、EC運営に関する知識を十分に持ってはいらっしゃいませんでした。
商品設計、楽天イベントのための各種設定、在庫調整、出荷。
特に運用の部分が初めての経験で、メルマガを作るのも初めてで、イベントごとにデータを記録して、考察、次に何をするか、その都度振り返って、試しながら進めていく必要がありました。
このフェーズでは、「店で一番売れているものは何か」「顧客が求める商品は何か」が最大の判断基準になります。
イベントがあれば参加し、反応が良ければ、さらによくなるように何をするのが良いか考える。
まずは回しながら、経験値を蓄積していく段階でした。
経験が積み重なり、「判断できる運営」に変わっていった
楽天イベントを1年、さらに1年と経験していく中で、運営の質が少しずつ変わっていきました。
・この商品は人気だが、出荷に負荷がかかりやすい
・今後のイベントを想定した適切な価格をどう設定するか
・ここで無理をすると、他チャネルに影響が出る
過去の実績と現場感覚が結びつき、「やってみないと分からない」から
これまでの経験から想定し、「コントロールできる」運営へと変化していったのです。
現在では、商品設計を含めた EC 運営に必要なアクションの多くを、店長さん自身の判断で進められる状態になっています。
これはマニュアルや知識だけでは到達できない、実務経験の積み重ねがもたらした変化でした。
年商7桁から8桁後半へ。数字以上に変わったこと
当初、年商7桁だったEC売上は、そうした制約の下でも3年後の今、8桁後半まで成長し、次のフェーズが現実的に見えるところまで来ています。
ただし、重要なのは数字そのものよりも、「なぜその数字になったのか」を説明できるようになったことです。
どの施策が、どの条件で効いたのか。精肉に合う施策はなにか。
どこに負荷があり、どれくらいだと売れなくなるのか。
振り返りが、そのまま次の判断につながる状態ができています。
生き物を扱う精肉業だからこそ、モールEC の役割を定める
精肉業のECは、生き物を扱う事業です。
生産量には限界があり、出荷には常に緊張感があります。
さらに、実店舗、卸、ふるさと納税など、他チャネルとの需給バランスも考えなければなりません。
「売りたいものを売る場所」にしたい思惑はあるけれども、そこに顧客ニーズがなくては売れません。
事業全体の中で、どういった役割をモールECに担わせるかを考えないといけないチャネルです。
イベントに出るか。 出るなら、どの商品をどれくらいのオファー率にするか。
どのタイミングで動かすか。
これらを、感覚ではなく、事業全体を見た判断として選べるようになった。
これが、現在の大きな変化です。
「善戦できている」とは、こういう状態
いただいたコメントの文脈における「善戦できている」という言葉には、
・モールEC に振り回されていない
・供給、出荷、他チャネルを理解した上で運用できている
・毎回、納得できる判断ができている
常に完璧な正解ではないかもしれない。
それでも、その時点で最も無理のない選択をしています。
その積み重ねが、結果として数字にも表れている。
それが今の状態です。
卒業前提だった関係が、チーム運営に変わった
当初は、EC運営の中の人が育った段階で、私は卒業する想定だったのですが、
実際には、人材の流れは計画通りには進みません。
その中で、外部支援という立場を超え、
チームとして密に運営する体制が自然とできあがっていきました。
判断を共有し、属人化しすぎないようにする。
誰かが抜けても、運営が止まらないようにする。
この体制が、EC全体の安定感につながっているとも感じます。
目的と手段は変わらない
今後は、ほかのチャネルとの併走で、また違った難しさも出てくると思います。
それでも、目的と手段は変わりません。
・無理をしない
・判断を積み重ねる
・事業として続く形をつくる
「善戦」を続けられる状態を保つこと。
一気に大きく拡大しなくていい。一歩一歩できるところを堅実に。
それが、次のフェーズへ進むための土台になると考えています。
