ウェブ集客の前にやること — コミュニティが生まれる場所の作り方

ウェブ集客の前にやること — コミュニティが生まれる場所の作り方

ウェブ相談会で、ある農園の相談を受けました。

土に触れ、自然の中で本物の食を育てる場所。無農薬・有機栽培へのこだわりがあって、イベントには親子連れが集まってくる。

Googleのビジネスプロフィールの写真を見て、話を聞きながら、魅力的な場所だなぁと感じました。事前にサービスサイトは見ていたけど、その時には感じなかった世界観。

そして、今回の相談のメインは、広告設定。

直近のイベントの告知に、Meta広告は既に動かしていて結果は出ているものの、サイト申し込み者に質の良い顧客が多いので Google広告もやりたい。今後はメインのサービスの農園について、インフルエンサーに口コミを書いてもらって、もっと集客したいとのこと。

サイトを開いて、改めて見直してみる。いくつか疑問が湧いてくる。

この場所は、来た人に何を約束して、ユーザはどんな理想の未来が得られるんだろう。

今、体験すると、何がすぐに叶うんだろう?

それがどこにも書いていなかった。サービスもなんとなわかるけど、すぐ腑に落ちない。でも来る人が「あ、これ私のことだ!」「これやりたい!」と感じられる言葉が見当たらない。

来園者は 30 – 50代の方々が多く、多くの人は興味のあるイベントに子供と来て、一過性で終わってしまうとのこと。インスタから申し込みされる人は、継続率が悪い印象があって、SNS集客はちょっと懐疑的。

そこから少しずつ、言葉が出てきた。うちは土もいいし、美味しい有機野菜が育つ。プロの生育ノウハウもある。そこで、長期的に土に触れて、安心安全な農作物を育てることを楽しんでもらいたいのだけど…。

それを聞いて、私はユーザー側の視点で言葉にしてみた。

ターゲット像は、20-40代ぐらいの子どもに土に触れさせたい親御さん。本物の食を通じて、生きる力を育てたいと思っている人たち。仕事や都会の忙しさから離れて、ここに来ると少し息ができる、そういう感覚を持ってきてくれる人。

子どもの情操教育としての農業に興味があって、親子で野菜を作るだけでなく、親にとっても、同じ価値観を持つ人が自然に集まるコミュニティとしての農園。農業や食物についての知識も高めることができながら、共通の悩みや興味を分かち合える人がそこにいるから、また来たくなる。子どもが土に触れる体験は、どこでもいいわけじゃなくて、コミュニティとしても良い環境。ユーザーがリピートで通いたいのは、そういう場所なんじゃないですか?と。

すると、「それがやりたいんです!」という言葉が返ってきた。

「コミュニティ」という言葉にはなっていなかったけど、その思想は、ずっとオーナーの中にあった。

言語化されていなかっただけ。


私が集客に行き詰まっている事業者さんと話すとき、ウェブ施策の話をいきなりするのではなく、その手前に穴がないか見るようにしています。

インフルエンサーに広めてもらうことも、ウェブ広告も、それ自体は効果的な手法。でもそれらもコミュニティが育った後に動かすことでよりメッセージ性が高まり、効果が出やすくなるものでもあったりします。入口でいきなり始めても予算を多く投入しないと広まらず、認知だけとれて終わってしまう。

「また参加したい」と思う人が生まれるのは、その場所に 《 自分の居場所 》を感じた瞬間 から。そしてその感覚は、サービスの質だけでなく、その場所が誰のためにあるのかが伝わっているかどうかで決まると思います。

私がコミュニティ形成で大事だと思うことは、

まず、サービスが誰の何に応えているのかを言葉にすること。 機能の説明ではなく、来る人の気持ちや状況に寄り添った言葉で。それがサイト訪問時にすぐ見えるかどうか。これがすべての起点になる。

次に、来た人との現場のコミュニケーション。 名前を覚えてくれているか。前回の話を覚えているか。来るたびに少し深くなっていく関係があるか。他のメンバーや参加者との交友があるか。そういう積み重ねが「ここには自分のことを知ってくれている人がいる」という感覚を育てる。

そして、発信の一貫性。 何のためにこの場所があるのか、どんな人と一緒にいたいのか。その軸がブレずに発信され続けることで、共鳴する人が少しずつ集まってくる。インフルエンサーに頼む前に、まず自分自身が一番の発信者であること。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     

最後に、双方向の関係性。 来てくれた人が消費者としてではなく、この場所を一緒に育てていく感覚が持てるかどうか。質問に答えたり、意見を聞いたり、会員同士を結ぶ機会があるか。来た人の変化を、こちらが気にかけているか。そういうところに、帰属意識は生まれるのではないかと思います。


集客を考える前に、

あなたのサービスは、誰の何に応えていますか。それはサイトの言葉に表れていますか。

来た人が「また来たい」と思う現場になっていますか。

コミュニティは、思想が言語化され、それに共鳴したところから始まります。

その土台がないまま集客施策を動かしても、差別化にもならず、人は来ても根付かない。

集客にお金をかける前に、ファンを増やして、コミュニティを温めていきましょう!