ターゲットとペルソナはどう違う?小さな EC こそ「ひとり」を決めておきたい理由

「誰でもいい」だと届かない。ターゲットとペルソナの違いと、決めておく6つの理由
先日、業種の違う事業主さんとお話ししていたとき、
「自分の事業となると、お客を見ることなく、単純に売上が上がればいいと思ってしまいますね」
という言葉が出ました。
私の仕事について聞かれているなかで、
咄嗟に 「ウェブマーケティングは、相手が見えていないと売れないものなんです」とお答えしていました。
すると、 「どうしてペルソナをはっきりさせないと売れないんですか」と聞かれました。
支援の現場ではあたりまえに使っている言葉ですが、
あらためて聞かれると言葉にしたことがなかったので、
そのときお話ししたことと、あとから思い浮かんだことを、ここにまとめてようと思います。
ターゲットは「層」 、ペルソナは「ひとり」
この二つは同じ意味で使われることも多いのですが、役割が違います。
| ターゲット | ペルソナ | |
|---|---|---|
| 何を指すか | 属性でくくった「層」 | その層にいる象徴的な「ひとり」 |
| 例 | 30〜40代、子育て中で、食の安全に関心がある女性 | 共働きで小学生の子どもが二人。平日は時間に追われているけれど、週末の朝ごはんだけは丁寧にしたい。買う前に原材料の表示を必ず見る |
| 決まること | どこに届けるか | その人にどう話しかけるか (= コミュニケーションの方向性) |
| 使う場面 | 広告の配信設定、市場の大きさの把握 | 商品ページの文章、写真、SNSの投稿 |
ターゲットで届ける範囲を決めて、ペルソナで話しかけ方を決める。
どちらか片方ではなく、両方考えておく必要があります。
理由1 発信がぼやけず、ブレにくくなる
誰でもいいから買ってくれればいいという商品は、実際に誰にも刺さりません。
誰にも当たり障りのない言葉は、誰の目にも留まりにくいものです。
万人に刺さるものはない、と思っておいた方がいいとすら感じます。
届けたい相手がはっきりしていると、
今日の投稿も、来月リリースする新商品ページも、同じ人に向けて書くことになります。
軸が通ると、「このお店は、こういう人のための、こういう商品を扱っているんだ」ということが
伝わるようになります。
理由2 相手の言葉で書けるから、「私のこと」になる
ペルソナを決めると何が変わるのか。ひと言でいえば、コミュニケーションが変わります。
相手がふだんどんな言葉を使い、どんな言葉に反応するのか。それによって、訴え方が変わるからです。
作り手は、商品の特性そのまま、「無添加・ストレート果汁100%」と書きたくなります。
けれど、先ほどの彼女が探しているのは、「子どもに安心して飲ませられるジュース」かもしれません。
「これは私だ。」「私が欲しいのはこれだ」と思ってもらうこと。
ペルソナを決めるのは、そのための言葉を見つけるためでもあります。
理由3 ひとりに届くと、同心円に広がる
絞ると、お客さまが減ってしまうのでは? そう心配される方は多いです。
「これは私だ」と感じてくれるのは、設定した層にぴったり入る人だけではありません。
ひとりに深く届いた言葉は、その人と似た暮らしの人、近い価値観の人へと、
同心円のように広がっていきます。
絞ることは、ほかの人を切り捨てることではなく、中心を決めることなのだと思います。
なくても困らない商品ほど、「ひとり」が要る
医療やお金にまつわること、毎日使う生活用品。
「ここを絶対に変えたい」という強い悩みや、
暮らしの必要に結びついた商品は、それだけで選ばれる力を持っています。
一方で、なくても暮らしに困らない商品は、どうしても後回しにされます。
地方の食品や工芸品、嗜好品の多くは、こちらに入ります。
だからこそ、「私はこれが欲しい」と思ってもらうための工夫が要る。
ひとりを決めておく意味は、こういう商品ほど大きいと感じています。
理由4 「やらないこと」を決められる
小さなECは、時間も人手も限られています。
どの SNS に力をいれるか、どんな写真を撮るか、ギフト包装と送料の見直しのどちらを先に整えるか。
迷ったときに「あの人なら、どちらを喜ぶだろう」と考えられると、
施策の優先順位がつけやすくもなります。
全部はできないからこそ、判断の拠りどころが必要だと感じます。
理由5 チームの共通言語になる
「30代の女性向けに」とお願いしても、思い浮かべる人は一人ひとり違います。
店長、スタッフ、撮影やデザインをお願いする外部の方。
それぞれが別の人を想像したまま進むと、仕上がりがちぐはぐになります。
ですが、ペルソナがあると、同じ人を見ながら相談できます。
担当が替わっても引き継げる。中の人が主役のEC運営には、欠かせない土台でもあります。
理由6 数字を振り返るときの物差しになる
反応がなかったとき、想定した人に届かなかったのか、届いたけれど響かなかったのか。
「誰に」を決めていないと、この切り分けができません。
ペルソナは、あくまで仮説です。確実な正解はありません。
けれど仮説を置いているから、データが答え合わせをしてくれます。
やみくもに手探りで進むのではなく、数字を見ながら一歩ずつ確かめていく。
ペルソナは、そのための物差しでもあります。
ペルソナは、実際のお客さまから
ひとつだけ気をつけたいのは、理想だけでお客さま像をつくらないことです。
レビュー、お問い合わせのメール、対面販売での会話、何度も買ってくださっている方。
手がかりは、すでに手元にあります。
一度決めて終わりではなく、お客さまの声を聞きながら少しずつ書き直していってみてください。
誰に届けたいかを決めるのは、商品のことをいちばんよく知っている中の人だからこそできる仕事です。
まずは、いちばん喜んでくれたお客さまをひとり、思い浮かべるところから。
そこから未来のお客様とのコミュニケーションの言葉が紡がれていきますよ。
「何から始めればいいか」だけでも、お気軽に。
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